『あおによし』について
青丹吉 寧樂乃京師者 咲花乃 薫如 今盛有
あをによし ならのみやこは さくはなの にほへるがごと いまさかりなり
『万葉集三巻 三百二十八番歌 大宰少貳 小野老 朝臣歌一首』
【現代語訳】
青丹よし(枕言葉)奈良の都は、咲く花の色香が艶やかに匂い映え、今盛り。
万葉歌人の小野老朝臣(おののおゆあそみ)が、大宰府にあって都の春を詠ったこの歌は平城京の都を、爛漫と咲き誇る桜の花に見立てて歌っています。
あおによし
「奈良」にかかるという解釈が通常されており、奈良では青丹を産出したからだとか、奈良の都の青や赤に塗られた建物の美しさをたたえているといわれていたようです。「アオ」は青で緑。奈良の都では多くの格子が緑に塗られていました。「ニ」は朱で赤。ほとんどの柱は朱色に塗られていました。また、丹が「土」の意味で、青丹とは「青い土」や緑青(ろくしょう)で顔料につかっていたという解釈もあるようです。
「よし」はその産地をほめた言葉。
古代韓国語では「あおによし(青丹吉)」の意味は大きく分けて以下の2つになるとのこと。
- ぽっかり空いていて最上(アオンニエシ)
- 奥まっていて霊妙(アオンニヨンジ)
- 「アオン」は「ぽっかり空いている」、「奥まっている」。
- 「二」がつくと副詞になり、「ぽっかり空いていて」、「奥まっていて」の意味。
- 「エシ」は「アシ」と同語で、特に「最初」「最上」の意味。
- 「ヨンジ」は「霊妙である」の意味。
意味を調べてみて、枕詞は色々な解釈ができ、非常に奥行きのある言葉だと思いました。
解釈によっては土や顔料だったり、または青は燃え出る緑を、丹は都の赤といった趣のある表現だったりと、美しい解釈から実用的な解釈までさまざま。その他の枕詞もさまざまな解釈がされていますが、枕詞をつけることにより、ふくみのある文章になっていると思います。
ちなみに枕詞は古代韓国語という説もあるのを今日知りました。。。